ダイテック 中内です。

ご承知のように、シリアでのアサド政権によるサリンを中心にした化学兵器使用が疑われ、アメリカが期限付きとは言えその制裁に腰を上げようとしています。
イギリスはキャメロン首相のいち早い制裁軍事行動賛成表明に対し、議会がNOを突き付けた格好になっていて、当のアメリカでは、オバマ大統領の制裁表明の後、どうしたことか・・議会の承認を得て・・とトーンダウンしながらも、議会承認には自信があるようです。
実際、アメリカはシリアの化学兵器しようについての確たる証拠があると云うもののロシアの証拠開示の要求には応じず、何がしたいのか全く分かりません。
国際社会の賛同を得たければ、証拠の開示には積極的に応じるべきではないのでしょうか。
どうも、聞き及ぶところによると・・・8月21日にシリアアサド政権内防衛省にひっきりなしに電話が殺到したらしいのです。
防衛省内の役人たちは声高に化学兵器の使用(自分たちが使用したと云う意味ではなく、化学兵器が使われたと云う事実)を口走り、顔色を変え、一時パニック状況に陥ったようで、この状況をアメリカ情報筋が証拠として本国に送ったようです。
実際、その時点では、化学兵器を搭載したミサイルが何処から飛んできたものだか。誰が発射したものだかと云う検証等は全く行われていないままだったようです。
国連の調査団がシリアに入り、検証を行ったようですが、その結果はまだ伝えられていないにもかかわらず、アメリカ、イギリス、フランス(フランスも新たな証拠をつかんだとしているが・・)は、いち早く制裁軍事行動を表明した訳ですね。
ところが・・ここからがアメリカオバマ大統領のおかしなところです。。
世界の警察を標榜し、地中海や紅海に艦隊を配置し、いつでもいかなる場合でも軍事行動を起こせるアメリカにもかかわらず、議会の承認を得ることを軍事行動の条件にした訳です。
それであれば、議会にまずは、軍事行動を根回ししてから表明すべきではなかったのでしょうか。
更に云えば、シリアにかかわらず、中東で化学兵器が使用される可能性は数年前からあった訳で、テロリストに化学兵器が手渡ることを最も恐れているアメリカとしては、本来ならば、その頃から外交戦や情報戦を始め、あのアラブの春による中東の盟友であるエジプトの民主化など許さないはずではなかったのではないでしょうか。
シリアに近いロシアとの外交に終始し、ロシアを使ってシリアを抑え込もうと画策した結果が、結局身を結ばなかったと云うことでしょうか。
仮にそうであれば、アメリカはこの数年の間、ロシアや中東を始めとする国々との外交が上手く行っていなかったということにほかならないように思います。
どうも、このオバマと云う人はどこかの国の民主党(オバマ氏もそう言えば民主党だな。)政権時の外交に似ている気がします。
外交には全く素人なのだなと云う事を露呈してしまったのではないでしょうか。
例えば、今回の駐日大使人事にしても全くの素人のC.Kennedy氏を任命していますが、日本との関係は素人でも大丈夫と云うことなのでしょうか。
アメリカ国民の半数以上が反対を表明している今回のシリアに対する軍事行動を議会の承認を得ると云う隠れ蓑によって行動を起こすのでしょうか、または議会の承認が取れずにイギリスのようにこのまま表明を取り下げることになるのでしょうか。
期間限定で地上派遣は行わないとしている今回の軍事行動により、シリアアサド政権の崩壊にまで持っていけるのでしょうか。
仮にアサド政権が崩壊してもエジプトやリビアの民主化の道のりを見るにつけ、中東に新たな騒乱の火種が残ると云う事だけではないでしょうか。
どの道もアメリカと云う超大国にとって、厳しい道の選択になるでしょう。
いずれにせよ、アメリカと言う国を代表する大統領と云う世界でのポジショニングを大きく失墜させてしまうのではないかと思います。
どうも、オバマ政権の終焉が近いのではないかと思います。